体験をパッケージする、Appleとももクロ。

2013 春の一大事 西武ドーム大会 2Daysが終わりました。あまりにも凄いライブで、やはり今その時が最高峰な体験である ことを再認識した2日間。前の体験を超えてくるから、また行きたくなるというループがものすごい勢いで襲ってきています。誤解を恐れずに言うと、過去のライブDVDをしばらく見ようと思わないくらい、今の出来る最高のものを示してきました。

ももクロの魅力を言葉にするのは難しく、自分でもハマったことに驚いているくらい。それをなんとか表現したいが、なかなか言葉にならないので、Appleとの共通点のみを取り上げています。

このエントリは、paradisecircus69さんの『洋楽好きの友だちへ、ももクロをおススメするにはどういうトークが良いか考える』という素晴らしい記事に触発されています。Apple好きに、ももクロをおすすめしてみようってことです。

Appleとのつきあいは古く、Lisaの発売を1983年に知り、1991年ようやく最初に触ることのできたマシンはII ci。今自宅にはMacbook Pro , Macbook Air, iPhone 5, iPad, Apple TVがあります。最初のPC(マイコン)体験はSONY SMC-70でした。Windowsも必要に応じて使っています。

スペックでは語れない。

Q.ももクロってメンバー全員特にかわいいわけでもないし歌がうまいわけでもないし何が魅力なの?

これは、こう言い換えることが出来る。

Q.スペックは明らかにAndroidのスマフォが上回ってるのに、なんでiPhoneにするの?

ももクロを最初に見た自分の感想は「さほど可愛くないし、歌もうまくないし、声が高すぎて長く聴いていられない」。(※あくまでも個人の感想です。今は全く違う見方になってしまっている)。要素だけ見れば、超えているアイドルはいるだろう。

Appleが開拓したスマートフォンやタブレットのマーケット(先駆者ではないが)。マーケットの広がりを受けて多くのメーカーがそのセグメントの商品を投入している。iPhoneがでたばかりの頃、「ワンセグが見られない。おサイフケータイ機能が無い。防水機能が無い」などと、ガラケーの「機能」と比べて語られることが多かった。スマートフォンが普及してきた今でもそれはあまり変わることはなく、スペックだけを見れば、Androidケータイが優っているところは多い。

ただ、それを超えるものをApple製品はもっていることが多い。

本田雅一のクロスオーバーデジタル:“新しいiPad”が追求したスペック以上の魅力 (1/2) – ITmedia PC USER

ユーザー体験をトータルで演出する巧妙な実装

CPUとGPUに対する比重のかけかた、OS、アプリケーション(そしてネットワークサービスも)までを一体化した製品の設計と実装。これらをトータルで演出することにより、iPadはスペックを越えて魅力的に“感じられる”製品になっている。

iPhone 3Gの時代はまだスペックが低いこともあり、アプリの立ち上げに時間がかかっていた。その待ち時間、起動時にアニメーション効果を取り入れ、前に開いていた画面をキャッシュしておいて表示することで、その待ち時間のイライラを減らすようにインターフェースデザインをしていた。

「アイドルは総合芸術」。

ももクロも、その要素を単体として取り上げていてはなにがこれだけ人を熱狂するのか見えてこない。
踊りと歌を磨き上げたから、だけではない。楽曲を良くすればよい だけではない。ある方向にとんがればいいものではない。体当たりで、これまでやっていないことをやればよいのではない。全力なのはどこも一緒。プロならば当然。

ももクロに楽曲提供している前山田健一はこう言っている。「アイドルは総合芸術なんです」 (情熱大陸ナタリー)

前山田:いまから話すこと、若干暴言があるかもしれないんですけど。 (中略)

前山田:Perfume のフォロワーはひとりとして成功しないのが面白いですよね。エッセンスだけ引っ張ってもダメなんでしょうね。

Perfume のフォロワーの人は、Perfume のサウンドと、あのデジタルアイドル的な部分がPerfume の魅力だと勘違いしちゃったんでしょうね。

-むしろデジタルアイドルじゃないのに。

前山田:そうなんです。浅はかですよね。アイドルは総合芸術だっていうことを理解してないんですよ。

BUBUKA  2011年 07月号

体験をトータルパッケージする。

iPhoneやiPadで言えば、値段を安くして広く行き渡らせることを選ぶのではなく、体験したときの満足度をどれだけ上げていけるかが、Apple商品開発の根幹。iCloudなど体験を支える部分は無料や安価に設定する。その結果、iPhoneそのものの値段は決して安いものではないが購入されている。Apple製品は発表時のスペックだけを見ていても分からないことがある。触ってみると所有欲が増すことが多い。箱にまでも緻密な拘りが有り(日経 ブルガリ並みの配慮 iPhone「箱」に革命)、所有欲はさらに満たされる。
AppleStoreのおもてなしは、「日本が忘れたもの、アップルが手に入れたもの」の「修復すべきはコンピューターではない」に詳しい。そこに行けば、商品を手に取って体験できるだけではなく、使い方の提案や講習まである空間。ジーニアスに”もてなされる”ことでAppleファンになる人も多い。「購入して使う」という体験そのものを徹底的にデザインしている。

体験に繋ぐための仕掛けづくり。

for the Rest of us

使いこなせない人たちをターゲットにする=まだ興味を持たない層に届ける。

Appleであれば、初期からもっているポリシーに「for the Rest of us」というのがある。当時コマンドを覚えて一つひとつ打ち込まないと使えないコンピュータの時代、マウスやGUIをワンパッケージにしてMacintoshが発売されたときのキャッチコピー。それはiPadが発売されたときに、また違う意味を持った。PCに慣れた人相手であれば、こう操作して下さいと言えば喜んでそうするだろう。しかし、それを使うこと自体に興味がない人には、苦痛でしかない。

アイドルという文化に慣れ親しんでいる人であれば通じることも、そうでない相手には伝わらない。ももクロは、アイドルファン以外をも視野にいれて活動してきている。2010年『K-1 WORLD GP 2010 FINAL』のハーフタイムショーに参加、2011年、『ザンジバルナイト in 野音2011』、メタルフェス『LOUD PARK11』に参加。そして2013年5月11日、OZZFESTに参加。アウェイに強い、異種格闘技アイドルと言われるが、アイドルに興味がない層をターゲットにして、その場所に出かけていく。

ももクロのパフォーマンスに興味を持ってもらうためのチャンネルが非常に多い。

とにかくライブがももクロを体験出来る場。その場への流れをきちんと仕掛けている。CDはまだアルバム2枚しか出していないが、ライブDVDは節目のライブだけで8枚。DVDを買うのはハードルの高い行為であるが、youtubeなどの動画サイトでは、過去のライブ映像が残っている。モテキで取り上げられた際の映像は、ハマるきっかけになることの多い動画。運営サイドが用意した動画も多い。ustreamでは、固定カメラではあるがライブそのものを配信することも多い。先日の2013西武ドーム大会も、ustreamで会場外の音漏れを配信している。BSやCS放送でも、何度もライブ映像を2時間程度放送する。スカパーの無料期間にも。AKBは、会えること、握手が出来るという体験をすべての軸にしているんでしょうかね。

ももクロで言えば、体験を向上させることにすべてを結実させていく。少し触れた人に驚きや興味を与え、体験に繋がる流れをどう作るのか。テレビに露出することだけ、とにかく売れることだけを目指すのではなく、体験しに来た人をどう満足させるのかがももクロ運営が常に考えていることではないか。2013年3月30日のミュージックステーションでは、トゲ付のマスクで顔を隠して出演し、驚きを与えている。ももクロは、現時点ではライブが「体験」であり、昨年薬増すに行われたライブでは「King of LIVE」と銘打っている。今回の「西武ドーム大会」の初日2日目は、4時間を2日間行い、合計65曲という驚きの構成。

※ライブ体験については、うまく語れません。自分は、CS無料放送でたまたまライブを見ていたら、なぜだか涙がこぼれてきて、それから気になって仕方が無くなりました。

イノベーションのためには過去と「決別」もする。

簡単に。AppleはiMacでフロッピーを真っ先に切り捨てUSBを標準搭載したり、MacBook AirではHDDだけでなく有線LANポートまで省くなど、ハンドルの切り方が急激です。

ももクロの場合、2011年4月10日のライブで早見あかりが脱退する。1時間以上メンバーがステージ上で6人最後の思い出を語り、泣きながらメンバーが退場した直後、「ももいろクローバーはももいろクローバーZになります」と発表され、メンバーもファンも驚愕する。2ndアルバム発売前に行われたツアーでは、アルバム曲を収録順にすべて演奏しMCもなく、客のサイリウム点灯を「禁止」して、アルバムの世界観を提示した。http://natalie.mu/music/pp/momoclo07/page/5

ソウルこそがすべての軸。

元マイクロソフトでWindows 95、Internet Explorerなどの開発に従事した中島聡氏はこう言っている

「熱狂的なファン」という観点からみると、数においてもその熱狂度においても、アップルの方が断然強いのである。それが私には長年不思議で(かつ不満で)ならなかったのだが、スティーブの言葉で全てが明らかになった。アップルの製品にはソウル(魂)があるのである。「ユーザーにこんなものを使ってもらいたい」、「ユーザーを驚かせたい」、というものすごくピュアなもの作りの姿勢がアップル製品にはにじみ出ているのである。それが人々の心を打ち、熱狂的なファンにしてしまうだ。

「ユーザーを驚かせたい」、「ピュアなもの作りの姿勢」という点は、ももクロに通じる。前山田健一氏も言っているように、外側だけをまねしても成功は難しい。 メンバー自身が、ファンと「根っこ」で繋がっているといることに信頼をしている発言がある。

百田「変わり続けたいっていう意志だよね。でもそう思えば思うほど、変わらないものが見えてくる。それが成長なんだと思います」

―じゃあ、変わらないものっていうのを言葉にするとしたら、何ですか?

高城「変わらないものは……ファンのみんなに届けたいって気持ちと、何に対しても楽しんで、精一杯自分の今出来ることを努力するってこと。パフォーマンスや表現やサウンドとかは進化していくべきだと思うけど、そういう内面的な部分はどうやっても変わらないんだろうし」

佐々木「私たちは私たちで変わらないし、今までの曲もあるし(笑)、みんな、そういうのもひっくるめてももクロが好きだって言ってくれてると思うから」

―そういう部分を信じているからこそ、ももクロはこういうアルバムに踏み切ることができるんでしょうね。

佐々木「考えてることは、私たちもモノノフのみんなも同じなのかなって思うんです。最初は<な、何だこれ?>って思うかもしれないけど、今の私たちみたいに、普通に受け入れてくれるんじゃないかなって」

(略)

―徐々に変わってきた、と。

百田「でも、それがいいんですよ。もちろん、何かのきっかけでももクロの曲を1曲知ってくれてて、とか。その曲だけ好き、とかもいいと思うんですけど。もっと大切な時間をみんなと共有してきた。その積み重ねが今のももクロの根っこを作っているかも」

音楽と人 2013年5月号 インタビューより

ファン(ユーザー)とのつながりが「忠誠度の高さ」に

Appleの顧客は忠誠度(その会社の商品を買い続けること)が高いことで有名。少し前だが、“アップルに対するiPhone/iPad利用者の「忠誠心」は3,000億ドル近い価値”という記事もある。

ももクロ2013年4月14日、先輩のスターアーティストから魂を受け継いでいこうというコンセプトのライブ、その最後の挨拶でリーダーの夏菜子がこう言った。

「最近よく『新しいことをしてもももクロは根っこは変わらない』って言ってるんですけど、モノノフさんたちも、私達がどんな変なことや新しいことをしても変わらずいつも応援してくれてるのがすごくうれしいなって。皆さんは私たちの仲間なんです。 これからも一緒に、いろんな夢を叶えていきましょう」。

(参考:ナタリーの 記事:※この記事では、「仲間」の部分が抜けています)

そこには、「根っこ」で繋がっていることを信じているメンバーとファンがいる。

この軸をぶらさないようにしてきた、スタッフがいるということ。どこを目指すかという軸(「ソウル」、「根っこ」)を明確にし、メンバーやスタッフ間で共有してきたということ。これが、メンバー同士の信頼関係、メンバーとスタッフの信頼関係、メンバーとファンの信頼関係、スタッフとファンの信頼関係を気付いてきたのだろう。

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