レンタル彼女。“恋人教習所”が必要な時代?

要約:“レンタル恋人”サービスの紹介を見た。これは切ないだけで、嫌だなあとか思っていたんだけど、いいサービスだと考えるようになった。モリくんが“レンタル彼女”の次に進むための大事なポイントとは。

彼女をレンタルするなんて、切ないだけでは?

2013年11月20日の『有吉ジャポン』で“レンタル恋人”というサービスを紹介していた。

クリスマスまで1ヶ月を切り、恋人のいない若者は多く、新成人の8割に恋人がいないというデータもあるそうだ。

そうだとしても、見始めた時は「恋人をレンタルしても、結局 “疑似恋愛” だし切ないだけだよなあ」と思っていた。

* * *

「レンタル彼氏・レンタル彼女TOKYO」というサービスは、男性20人、女性40人ほどが“レンタル恋人”(キャスト)として在籍している。

料金体系は、

  • 指名料:5,000円@1時間
  • 出張料:3,000円(東京23区内)
  • その他:デートにかかる実費

そして、禁止事項が細かく決められている。

  • 自宅デート
  • ドライブデート
  • 宿泊を伴うデート
  • プール・海・スパ・混浴温泉など水着や露出が多いデート
  • カラオケ以外の目的でのカラオケデート
  • ホテルの部屋でのデート
  • ネットカフェなど個室でのデート
  • ストリップやハプニングバーなど性風俗店でのデート

例えば、6時間“デート”すると、33,000円に加えて、デートに必要な実費が必要となる。結構な額。

料金が高いし、やれないことが多いので恋人気分を感じられるのだろうかと思った。これは”なんか嫌なサービスだなあ”と思って見ていた。知らない者同士が突然会っても、それまでのお互いの関係が”ゼロ”なので、「恋人」というシチュエーションがまったく無いままどうやってデートをするのだろうと考えた。

これはいいサービスかもしれない。

でも見ていくと、これはとてもいいサービスだし、“きちんとしている”サービスだと思った。

さっきの自分の疑問は、自分の中にある「イメクラ」とか性風俗的イメージが強すぎたのかもしれないなと少し反省 ^^;。

* * *

すこしばかり「デート」の内容を紹介。

人気No.1の水城咲さん(21歳)、今回の“彼氏”は21歳大学生のモリくん。坊主頭のような短髪で、おとなしく気のよさそうな青年。

今回は12:00〜18:00、6時間の予約。

「基本消極的」という彼は、これまで1度も女性と付き合ったことがなく、初めて“レンタル彼女”を利用。待ち合わせ場所で会うが、モリくんはデート経験が無いので「どこ行こう、どこ行こう」と行き先を決められず、咲さんが水族館を提案。

─ ─ ─

利用者のほとんどは恋愛経験がない人なので、サービス運営会社では、独自の教育カリキュラムがある。デートで出くわす可能性のある様々なマナー(テーブルマナー、席の上座下座など)の教育、模擬デート研修などを行っている。例えば「女性が高いヒールを履いてきた場合、タクシーの奥の席に移動するのは大変なので、助手席の後ろに誘導してあげましょう」と男性キャストに教育している。

─ ─ ─

行き先が決まると、咲さんから自然とモリくんの手を握る。彼は驚きながらも笑顔になり、互いの指を組め合う恋人握りになっていた。しかし彼は不安な表情を浮かべていた。慣れない経験での緊張感から、水族館では彼女も見られず魚ばかりに目をやる彼。

そこで“彼女”は彼を水族館から連れ出し、公園で腰を下ろす。一緒に食べようと、“彼女”がお弁当を取り出す。事前の彼とのメールの中で料理の話しがあり、咲さんが内緒でお弁当を作ってきたという。

いきなりデートを楽しむことが出来ない人も多いため、申込があると1週間はメールのやりとりをしてから会うようになっているのだそうだ。「なるほど、これで気持ちを高めていき、相手の好みなどを把握するのだな」と思った。これなら「彼女」という感覚を持てるかもと思った。

─ ─ ─

メールの研修も行われているそうだ。スタッフに対して、“返信のタイミングが遅い”、“事務的に感じられる”、などメールのやりとりを細かく添削していた。

─ ─ ─

初めて会ったばかりで、お弁当まで作ってきてもらい、その上「あーん」で食べさせてもらった彼は、感激のあまり目に涙を浮かべていた。

スタジオでは「人の純情を踏みにじるような行為だよ」という声もあった。「たしかに、これはこのときだけの関係だからなあ」という感覚を持ち、見ていて切ない気持ちにもなった。

* * *

「会う前はすごい不安で、ファンションも考えなかったし自信がなかった」という彼に、“彼女”は「全然自信持って大丈夫だよ」と自然に彼の腿に手を置く。「ホント?」と嬉しそうな表情を浮かべ、ガッツポーズをする彼。そのあと少しずつ積極的になってきて、ゲームセンターでは“彼女”にUFOキャッチャーのぬいぐるみを渡す。“彼女”は「ありがとう〜。カバンにつけるね」と自然と距離は縮まっていった。プリクラでは、“彼女”の肩に自分から手を回すほど積極的な姿を見せた。

出会ったときと違って、手を組んで歩く姿も自然に見えるようになっていた。辺りが暗くなってきた頃、手をつなぐ二人。「このまま時間が止まればいいのに」のテロップ。

突然“彼女”が彼の手を離す。「ここで終わりです。(6時間デートした)ので、3万3千円お願いします」と告げる。

スタジオからは「やだやだー、これやだよー、悲しい」という悲鳴のような声と、「これ楽しい」と手を叩いて喜ぶ出演者も。

「この瞬間 恋人同士から客とキャストの関係にもどったのです」とナレーションが入る。

モリくんが「途中まで一緒に帰れます?」と粘るが、時計に目をやり、「お仕事なので」と断る咲さん。「それもダメ?。まじか⋯」と頭をかくモリくん。

終わってから彼は、「楽しかったんですけど。最後にお金を払う時に現実に引き戻された感じがした」と言った。

現実に戻す儀式

ここがこのサービスのポイントだろう。これがあるからこそ、いいサービスだと感じた。

時間を厳格に守ること、お金を“恋人”役(キャスト)が直接もらうことで、客とキャストとの契約関係だという事を実感する場面なのだ。「現実に引き戻す」ための儀式ともいえる。これが無いと、気持ちを引きずってしまい、疑似恋愛は客の中で妄想的に拡がってしまう。最悪の場合、それがないと生活できないことさえあるかもしれない。

実はこの方法、心理カウンセラーでも使われる。ある開業カウンセリングルームでは、会計窓口でお金を払うのではなくて、カウンセリング終了後にカウンセラーが直接クライアント(相談を受けに来ている人)からお金を受け取るようにしている。ここまで厳格にやるところばかりではないけれど。

カウンセリングは、心の辛い部分を認めて支える行為だから、当然ながら「この人だけが私を分かってくれる」というカウンセラーへの依存が生まれやすい。そういう気持ちを持つのは当然だし、そういう時期もある。けれど、そのカウンセラーとしかやっていけないままでは、本人の社会生活も辛いままになる。最初からそうできるわけではないし、依存してしまう時期もあるかもしれないが、最終目標は「その人の力でやっていける」ようになることだ。

簡単に言うと、咲さんがスタジオで言った一言。「ここで完結して欲しいわけではない」ということだ。

* * * *

その人の力を付けるための“線引き”

番組で見る限り、客に親近感を持ってもらうことも教育しているが、「その人の力を損なわないようにすること」もかなり教育していると思う。つまり、客とキャストの関係に戻すため、時間を守ることは何よりも徹底されるだろうし、金の受け渡し場面で何を言うか、何をしてはいけないかを徹底的に教育しているはずだ。客が次のステップに行けるためには、これが最も大切だから。

お金の受け渡しをキャスト本人がやるというのは、キャスト側が逆にのめり込んでしまわないようにするための儀式でもあるだろう。自分の好みの客に会ったときに、自分がのめり込まないためにも。逆に同情や憐憫の目で客を見ないようにするためにも。キッチリと線を引くことで、お互いが「健康的」な関係でいられる。

あと、時間を守るということは、相手が依存的にならないためにはとても大事なことだったりする。相談の時にどんなアドバイスをしてくれたかということも大事だが、「この人は私のためにここまで時間を割いてくれた」というのが、一番の喜びだったり安心だったりする。予定の時間を過ぎてしまうというのは、「その人はルールを破ってまで私のことを大事に思ってくれる」という「幻想」を抱かせてしまう。ん〜、気を付けよう、自分に言ってるなあ、これは。

「良心の呵責はないのか。かわいそうという気持ちはないのか」というスタジオからの質問に対して、咲さんは「寂しさにつけ込んでる気持ちは全くない。一緒に過ごした楽しさとか女の子と一緒に居るとこんな気持ちになるとか、やっぱり彼女欲しいなと思って前向きな気持ちになってもらいたい」という。「ここで完結して欲しいわけではない」と。

「交際実地練習」

「女性経験を積みたい人にはとてもいいサービス」と 実際に利用したモリくんが言ってた。まさにその通りだと思う。

番組の冒頭では、「モテない男の人たちの気持ちを操っている」という声もあった。ただ、付き合ったことのない人からすれば、いざ付き合いたいと思っても、女性(男性)は何を喜ぶのか、何を話せばいいのかは見当が付かないだろう。

このサービスは、女性と付き合うということのイメージを持てるサービスであり、実戦訓練が出来るサービスだといえる。車の免許を取るために自動車学校に通うようなものだろう。それよりは、マッサージやネイルサロンに行って、自分のためをケアしてくれる人をその時間確保する、という方が適切な例えかも。お金を出してその時間を「買う」と、自分が依頼主になれるので主従関係が生まれ、余裕を持てる。

たしかに、「彼女を作るのに練習がいるのは変じゃないか。当たって砕けろ」という意見はあるだろう。ただ、「失敗」を怖がって踏み出せない人が多くなっているとは思う。一歩踏み出したいと思っている人には、いろんなチャンスがあっていいと思う。少し前の時代なら、友人から背中を押されて告白したりすることや、アドバイスもらったりする事もあったけれど、今は友人という「親密な関係」の方が気を遣って、ホンネを言わない時代だったりもする。“好きな人がいる、付き合いたい、失敗したくない”。そんなデリケートな弱い部分を、リアルな「知り合い」にカミングアウトするのは難しいのかもしれない

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おまけ。

↓ 親密な関係の方が「素」の自分を出せないんじゃないかってな話しがわかりやすく書いてある本。

「個性」を煽られる子どもたち―親密圏の変容を考える (岩波ブックレット)
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