安堂ロイドはガラケー。黎士とロイドの多重人格状態の行く末。

要約:安堂ロイド最終回の解釈。評価がなぜ真っ二つなのか。「何でもあり」は諸刃の刃。

安堂ロイド、ごちゃごちゃ言いながら最後まで見た。うるさい視聴者だった。

自分の「このドラマに入り込めないポイント」の変遷としては、

など、いろいろあった。まあ文句も含めて楽しんだドラマではあった。それでいいんだと思う。 でもココだけは残念ってことはある。
最終回の解釈だけ見る人はこちらへ。

Ando Lloyd

Reiji come back

アクションや演技は楽しかった。SFXも良かった

アクションは切れがあり、とても見ていて気持ちのいいものだった。

SFXもウージングアウトの画面効果や、海色のチップとその結合時の音などは、爽快だった。映画とは予算の桁が違うと言われる連続ドラマで、アクションやSFと向き合ったドラマという意味では、何の文句もないし、素晴らしい作品だったと思う。

安堂ロイドとタイトルがダジャレになっていることから、ツッコミどころが満載という大方の予想があったが、最後までツッコミどころを残して終わったのは、ある意味「初志貫徹」だったと言える。ツッコミどころがあるから、話題になるのかもしれない。もう誉めているんだか貶しているんだか、分からなくなっているが。

キムタクは何をやっても「キムタク」じゃんっていう自分の見方との闘い (って大袈裟だけど) が最初はあったけど、キムタクの演じ分けは楽しめた。エンケン(遠藤憲一) が SIT を説得するシーン、演技そのものは素晴らしかった。

評価は真っ二つ。

ネットの声を見てみるととらえ方は真っ二つに割れている。見事なまでに。

「こんなにかっちり物語描いているのに、こんなにもダイレクトにどストレートなメッセージを語ってくれて、本当に面白かった。A.I.をありがとう」という声もある一方で。

「セリフがまったく届いてこないなぁ。役者が熱演すればするほど空々しい」「セリフで説明されても意味不明というか。どうしてこうなった…。疑問が残りまくったから制作者に問い詰めたい気分」、という真逆な意見も。

どうしてここまで割れるのか。

「想いが大事」って説明しちゃったら「道徳の時間」

自分は空々しく感じてしまったほうだ。演者の熱や演技はグッとくるものがあるだけに残念。

前にも言ったけど、安堂ロイドの世界には「匂い」がない。

人間の不完全さを否定し、完全さを求めて作り出したアンドロイドが、逆に人間を支配する。そんな「くさった世界」を描いているのだけれど、その世界の暗さや匂い、リアリティを感じないので、初回で麻陽と黎士が「くさった世界」について話していたことや、この世界に憤る葦母のセリフなどが、心に響かない。

SFだからといって、すべてを理屈づけして欲しいと思って見ているわけではない。前にも書いたけど、ラピュタの「飛行石」のように、“あの石があるから飛べる”って思わせてくれれば良い。

テーマそのものは、頭では理解できる。そういうことを描きたいのだなと。けど、寝返った角城がすべて説明してしまったように、100年と24日2時間13分ぶりにロイドが復活して一気に説明してしまった。理詰めで「説得」してくるドラマだったという印象が残った。

「想いが護る力」になるんだと言葉で説明してしまうと、たんなる道徳の時間になっちゃうじゃないか。

ガラケーな安堂ロイド。何かを捨てるという勇気

機械と感情、完全な機械と不完全な人間、コントロールと多様性、とさまざまなテーマを描いているが、盛り込みすぎて消化不良。そこを説明セリフと公式サイトの用語説明で済ましてしまう。

まるで、ガラケー。防水、ワンセグ、お財布機能、赤外線、高画質カメラ、タッチ機能も付けましょう。分厚い誰も見ないようなマニュアルを付けて。

一つ一つのテーマだけで充分行けたのに。SFへのハードルを低くして一般視聴者に受け入れられようとしたからなのか。死角がないように、誰にとっても受け入れられるようにしたからなのか。

その結果、シンプルさと驚きがなくなってしまった。だから説明しないと理解できないものになっている。何かを捨てる勇気が欲しかった。

最終回の解釈

まあ、文句ばかり言っててもしょうがないので、色々考えたことを書いておこう。なんだかんだいいながら、最終回まで楽しんだし。8話時点でトンデモ予想(結末2-1)したらそういう結末になっちゃったんだけど。「想い」は素粒子であるというのがこのドラマなので、黎士はいくらでも「生きている」と言えるよなあ。

最終回の読み解きを。

ARX II-13(ロイド)のボディに、2113年に分散して保存されていた黎士の脳データがコピーされる。ユカワOSというアンドロイド制御OSは停止し、より人間に近い生体活動モードで動くようになった。

ARX II-13のボディは「IPS細胞をコンセプトに作られたため、死のプログラム(テロメア的なもの)も入っている」とあるので、ほぼ人間とみても良いということになるのだろう、この物語の上では。死のプログラムも導入されているので、ロイドだけが、ロビタ (手塚治虫 火の鳥) のようにずっと死ねないで存在し続けるということは、なさそう。

サプリは「2113年の奴らにロイドのデータも沫嶋黎士のデータも消された」と言う。なのに、2113年から2013年の5Dプリンタにデータ転送している。彼女の言うことは間違っていることもあると公式サイトにあるので、無視^^。まあ、ARX II-13の設計図と脳データがあればコピーはいくらでも作れるわけで。

黎士とロイドの同居。このドラマの余白。

ロイドの機体に黎士の脳データが合体した状態。黎士復活直後に、舌打ちをしそうになる仕草をする (と、僕は解釈した)。となると、やはり黎士とロイドの人格が同時に存在していることがうかがわれる。

安堂ロイド舌打ち

最後の最後でARX II-13のプリントアウトに「YES」と答える声はおそらく黎士の声。しかしロイドの特長である舌打ちも聞こえる。ロイドの自我が甦ってきたため、黎士との融合が進んでいるのだろう。

ロイドベースの黎士がARX II-13を作らないといけない事態が起きるってことは、戦闘が必要になるってこと。

もしくは、今回の結末とは違うパラレルワールドかもしれない。サプリの「破壊された」ってのもそういうことか?でもさあ、そうなると「何でもあり」になっちゃうけど⋯。

七瀬のようにロイドと黎士という二重人格状態になっているかもしれないし、統合されているかもしれないけれど。七瀬と黎士がどっちも解離状態(多重人格)になってるって、考えるとすごい設定だけど。(多重人格設定はどんでん返し用に用いられることが多い大ネタだと感じているんだけど、それが2つも入っているという意味で) 。まさにこのドラマらしいかもしれない。いろんなものが同居していて。

* * *

麻陽サイドを見ると

ロイドは自ら「自我」を捨て、代わりのきく消耗品であることを最後に選択した。黎士の想いを大切にするという理由で。ロイドへの想いを持っているはずの麻陽がこの後、どう葛藤するかは全く描いていない。そのあたりは、物語の余白として面白いとは思う。

麻陽は、愛する男と死に別れるが、そっくりの機械を愛するようになるが、機械の自我が消えさり、愛する男の自我が戻ってくる。それらをすべて受け入れるという、相当タフな女性である。若い彼氏をとっかえひっかえする母親がいることの意味はこれだね。「血を継いでいる」んだと思わせる。

テーマ的に考えると、麻陽は想いがあれば肉体にはこだわらないのかも。けど、夫婦生活の上ではいろいろと壁があるはずだが⋯。

麻陽は、ロイドの喪失をこれからじわじわ感じるのだろう。そしてロイド機体の黎士に「黎士」を感じるのか、「ロイド」を感じるのかという葛藤はあるだろう。

すべてをコントロールする黎士

しかし、黎士もロイドも自己犠牲の塊だ。黎士は自分が死んで未来から麻陽を守る。ロイドは麻陽を守るために破壊されることをいとわず、最後には「自我を捨てる」。自己犠牲の上に、麻陽や未来を紡ぐ人々の想いを大切にする。

人類は、不完全な人間を補完するべく完全なアンドロイドを作り出し、それが大虐殺の未来を生み出した。命をコントロールして人口爆発を解決しようとする未来。黎士はその未来を変えるために、ロイドを2013年に送り込んだ。自分の命を賭してまで。

というと聞こえは良いが、黎士はすべてをコントロールしているのである。自分の命もロイドも。時間も超えることが出来、肉体という枷まで外れた黎士は「万能」である。

自己犠牲って、見方を変えると相手を束縛しコントロールする手法だからねえ。このあたりをしっかり描いても面白そうではある。

「なんでもありじゃん」こそがこのドラマ?

考えていると妄想は膨らむ。いくらでも物語は作れるだろう。しかし、このドラマは「ある限定したルールの中で話が進む」という枷を外してしまったので、続編や外伝をいくらでも作れるとは言え、驚きと感動を生み出すのは難しくなったのではないか。視聴者の「だってなんでもありじゃん」っていう想いと戦わなくっちゃいけない。これはかなり重い鉄球が繋がれていることになるけど。

* * *

まてよ、ツッコミどころが多いからこそ、ユーザーサイドでストーリーがいくらでも作れるのかもね。それはそれでこのドラマの楽しみ方なのかもしれない。小説とか妄想は広がる。

で、「俺に●●●という機能はない!」とかいう薄い本はもうあるの?

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安堂ロイドはガラケー。黎士とロイドの多重人格状態の行く末。」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: 大島優子の演技に反響 「安堂ロイド」と「SPEC」の共通点が話題沸騰 … | LICHIS

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