山里亮太の不毛な議論。リスナーと共犯でネタ作り。「クズ」の「天才」ぶり。

「クズ」というロープの反動を利用してカウンターパンチを放つ山ちゃん。1月8日のTBSラジオ「水曜JUNK 山里亮太の不毛な議論」は、リスナーとの公開漫才ネタ作成空間。リスナーとの共犯関係をベースに、疾走感と躍動感のあるラジオだった。手の内と「クズ」っぷりを曝しまくる南キャン山里。

ネタ作りが公開で行われているようで、その過程をすべて言葉にする。そして「クズ」っぷりも含めて面白い。目の前でリスナーとの共犯が行われていくプロセス。とにかく、ハガキ職人さんたちの力量に感服する回。前の週も次の週も別の意味で「クズ」っぷりは全開だったけれども。

不毛な議論

母親から漫才のネタをもらう

相方との絡み方も忘れるほどにしずちゃんと一緒に居る時間もなくネタも作っていない。そんななか、正月に母親から「もしも亮太がホストだったら」という漫才のネタをもらった山ちゃん。そこそこの出来だったので、リスナーの力で完成させようという「クズ」っぷりの高い企画がスタート。

優秀なスーパーブレイン改めリスナーの皆さま。今週のメールテーマ。“母ちゃんが作った一本ネタ、どんなボケを入れたらいい?”です」。ボケを「つなぎ合わせて一本のネタに。はっきり言います。頂きます!本当に頂かれたくなかったらメールの下に ⓒって書いときなさいよ。それが出来ないなら頂かれますよ。頼むよ!」と全面的にリスナー、ハガキ職人に委ねる企画スタート。

メールで寄せられたネタに、ボケや突っ込みを加え、「お気づきの通り、いまこうやって広げる案を目の前の小川さんに確認しながら頭の中で(ネタ)作ってますから。こんな最高の公私混同ないよ。恥ずかしいかもしれないけど言うよ。みんなが思ってる倍、頼ってるからね。プライドはお母さんの産道に置いてきてるから」と。

双方向ネタ作り空間

漫才のネタ作りの現場など見たことはないのだが、こういうものなのかもしれないという感覚を持った。メールのネタに修正を加え、別のネタと組合せ、上乗せする言葉を探していく。双方向でネタを作っていく躍動感と疾走感。ネタの細かな修正を思いつくとそれをメモし、もらったツッコミに「これは応用が利くよね」と「我が物」にしていく「クズ」っぷりを見せながら。

“しずちゃんが突如殴りかかり、その凶暴性はリングで国のためだけに使ってよ!というメールが来て感心歯痛tも、次に“急にしずちゃんがショートコント 喝上げって言う”というメールが来る。

ここで山ちゃんは、ネタを組み合わせていく。「ちょっと待って下さい。まず“ショートコント喝上げ”って言うでしょ。“やんないよ”―“おいおい金持ってるやろ”―“やんないって言ってるじゃない”―“はよ出せや(手をブンブン振る)”、距離取った、殴られた、“ちょっとちょっとその凶暴性はリングで国のためだけに使ってよ”。2つセットです。いいですよー、非常に皆さんいいですよ―」と、リスナーにボールを投げ返したうえでネタ同士を組み合わせていく。

そして、漫才全体の構成までもがこの場で作られていく。「これいいですね。(このボケは)これは普通に使える。これを35秒くらいやって、台本でいうと3分の2使ってたら面白い」と、骨格を作る。

自分の持ち味と漫才の作り方を思い出しながら

そのうえ、「南海キャンディーズの持ち味ってボケを自由にさせている間にツッコんで終わらせないところにあった気がする。たしかラサール石井さんが誉めてくれたんだよ。これは長めにやろう」と、自分たちの持ち味をメールをもらって思い出し確認する。あまつさえそのことさえも自分で言う。

恥ずかしい話、こうやって漫才作るんだって思い出しながらやってるんだよ」とまでも。ノーガード戦法とはこのことかというほどに、手の内を曝す。ガードの概念はもうない。拳の前に顔面を差し出している。

仲の良い人とネタを作る空間

「皆さん、こういう感じよ、ネタ作る時って。しかも仲いい人ばかりだからこんな感じ。仲いいとネタのスピード変わってくるのよ。仲悪いと全部面白くなく見えてくる」と。スタッフ、リスナーを含めたすべてが共同制作者の状態になる。スタッフにCMに行くように言われると、「なんでここでまでにしようって言うの?まだネタ出来てないよ。わがままだねえホントに」という山ちゃん。山ちゃんの多幸感はそのまま疾走感と共にリスナーに伝わってきた。

「格下がり」

ボケだけが送られたメールに山ちゃんがツッコんだ後、「これ俺のツッコミです、自分で今言いました、みなさん。こういうことも出来るんですよ」と、「出来る奴」をアピールする「クズ」。時間が深くなるにつれて、リスナーは「スーパーブレイン」から「先生」に格上げされる。アドバイザーというまだ横並びの関係から、師弟関係に格上げ。というかセルフで「格下がり」。エンディングテーマの「良く出来ました」の声に、「みんながね!」と言って締めくくる。

自分だけで笑いを取ろうとうすることを反省

このラジオの中で、山ちゃんはネタをもらうことについて何の遠慮も反省もない。そのなかで一つ気になった言葉があった。

“しずちゃん:山ちゃんのちょっとキモいとこみてみたい、ハイ、全部全部全部~全部!”というボケネタに対して、「“聞いちゃったよ、途中で止めるべきだったけどね”という変化球のツッコミが欲しいかな」と、自分のアイデアをいう。しかしすぐさま「いや、違う、今のはダメ。今のは俺で笑いを取ろうとして失敗するパターン」と、自分のスタイルを「反省」する。

実はこのスタイル、明けて1月9日の「ナカイの窓 ゲストMCスペシャル」でも触れられていた。

「相手を利用して自分の夢を実現する」

「ナカイの窓」には毎回中居正広MCの他にゲストMCが進行をする。1月9日の回は、ゲストMCだけが集まった回。MCに必要なノウハウを明かし、中居正広のMC・プロデュース力の凄さも見え、お笑い好きにはたまらない番組だったが、今回はラジオに関連する部分だけ切り取る。

山里 相手を利用

山ちゃんは、他のゲストMCの分析を細かく行い、自分のツッコミが何回テロップになったかまでも数えるなど、非常に分析的。これを理由に、「ゲストMCでもう呼ばれない人」として山ちゃんの名前があげられた。中居くんと一緒にMCとやるのはある意味で“共犯関係”だが、山ちゃんは確実に「教唆犯」だという犯罪心理学者の出口氏。正犯は「一緒にやる」、幇助犯は「相手を助けてやる」、教唆犯は「相手を利用してやる」関係。山ちゃんは「自分の中にいろんな夢があって、中居さんという冠を使いながら自分の夢を実現したい雰囲気を感じる」のだという。

ボケを立たせる

「俺で笑いを取ろうとして失敗」しないように、ボケを際立たせるのではなく自分が前に出てしまうことを避けようとラジオで語る山ちゃん。しかし、相手を利用している姿勢が「ナカイの窓」で曝されてしまう。

しかし、「ナカイの窓」も最後は、中居を利用しようとしている「クズ」であることを笑いに繋げる。

山里 呼ばれないゲストMC

おぎやはぎの矢作は「山ちゃんは、(ゴシップを)リークしても悪いことしたなーと思わせない。どうにか回避するから。やっぱり凄い、腕が」といい、吉田豪も「腕があるから笑いに転がる(笑)」という(「お笑いラジオの時間」)。

自分の手を曝し、ねたみそねみの「クズ」エネルギーも、結局は笑いに変えてしまう。「クズ」ということで相手の上に立たないポジションを取っているからこそできる技。逆マウントポジション。

「お笑いラジオの時間」では、インタビュアーの村上謙三久に「『不毛な議論』に魅力ってありますか?」と逆に問いかけ、「どこが魅力ですか?じゃなくて魅力ありますか?って(笑)」と笑われるほどに自分を「下げる」。

裏番組の「ダイノジ大谷オールナイトニッポン」を、「“熱量”があって、とにかく『業界聴取率』がいいってみんなが言うんですよ」、「仲良くしていたゴッドタンの佐久間さんがあっちのリスナーになっていて」と、非常に気にする。

ゴッドタンであいな嬢の発した名言の通り、「負け様で勝つ」のだ。

お笑いラジオの時間 (綜合ムック)

お笑いラジオの時間 (綜合ムック)

「今だからこそ」のリスナーとの共犯関係

おぎやはぎの矢作は、「山ちゃんはいまのラジオに凄い向いてると思う。リスナーと距離が近いから」という。1月8日の「不毛な議論」は、山ちゃん—スタッフ—リスナーの共犯関係が非常に強い空間だった。

山ちゃんはラジオキング伊集院光へのあこがれが根っこにあり、「リスナーは興味を持ててないものを面白くしゃべる」ことが出来るようになりたい思いを強く持っている。まだ出来ていないのだともいう。

しかしだからこそ不毛な議論は、「今このときにしか存在しえない共犯関係」が産まれるかもしれない。「僕が頼りないから“山里を面白く聞こえるように俺らでなんとかしてやろう”という気持ちが強い」からこそ、共犯の絆は強まる。今しか見れないリスナーとの共犯ラジオなのかもしれない。

「本当にみんなに育ててもらっている最中なんです、いまは」って。あなたは出始めのアイドルですか、山ちゃん(笑)。

「クズ」を反動にして出すクロスカウンター

山ちゃんは自分を「カウンターパンチャー」(お笑いラジオの時間)と言うように、相手のボケに対してピンポイントなワードを返して笑いを取る。返す刀の切れ味が鋭く、線で切るというより点を突くようだとさえ感じる。

ナカイの窓で陣内は「(ツッコミが)もうちょい早くてもいいのに、全部言わせるからな、やめて欲しくないねん」といい、若林は「打たせるの。寝技に持ち込みマウントで打たせて決めて、最後俺が勝った、みたいになる」。

ナカイの窓 若林 打たせるの

「あしたのジョー」は、カウンターパンチの威力を増すべくロープの反動も使う。山ちゃんは、「クズ」というロープの反動を利用してパンチの威力を増している

* * *

なんか、長々書いているうちに、ばかばかしくなってきた。一言「面白かった」で済むのに。不毛だわ〜。

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中