『逆向き列車』が魅力的な12の理由。

要約:テレビ東京系で2014年2月3日に始まった『逆向き列車』。人間力に溢れた『逆向き列車』の魅力を12個あげてみた。10個にした方がよかったか。逆向き列車に乗らない人がいても、企画の「失敗」ではないのがこの番組。

* * *

仕事を急遽1日休み、突然訪れた休日を自由気ままに過ごしてもらう。仕事を休む代わりに番組内でお勤め先を宣伝。費用は全て番組が負担。列車で出勤前のビジネスパーソンにマイクを向けて、会社とは逆向きの列車に乗りませんか、会社をサボりませんかと声を掛ける。

いきなり、会社を休まないかと言われるが、会社を休む算段は番組が説明してくれるし、お金ももってくれるし、会社の宣伝をするので上司や会社の理解が得やすいという仕掛け。

この番組の魅力を12個にまとめてみた。

  1. 想像が一気に拡がる簡潔なタイトル。
  2. 「自分だったらどうする?」と考えられる。
  3. 逆方向に向かうという舞台が魅惑的。
  4. 非日常に一歩踏み出す瞬間が見える。
  5. 非日常が気持ちの壁を取り去る。
  6. その人の人生が垣間見える。
  7. 自分たちが世の中を動かしていると感じられる。
  8. 支えている人にも光を当てる。
  9. レポーター、出演者の“人となり”が見える。
  10. 日本と日本人が垣間見える。
  11. なにより、「失敗」がない。
  12. 人間力が見える番組。

1.想像が一気に拡がる簡潔なタイトル。

普通の人にスポットを当てる番組が増えているのは知っていたし、テレビ好きの中では話題になっていたけど、そういえばあまり見てこなかった。『逆向き列車』がどうしても気になって見てみたのは、このタイトルに惹かれたから。

レポーターは、出勤前の人に腕章の「逆向き列車」の文字を見せる。「逆向き列車に乗りませんか」と言われたとたん、その人は疑問符が浮かびつつも、惹かれてしまう様子が見てとれる。

この一言で、イメージが拡がる魅惑的なタイトル。

2.「自分だったらどうする?」と考えられる。

最近では普通の人々を取り上げた番組が増えており、テレビ東京には他にも街の人々取り上げる番組もある。

けれど。この番組は自分が毎日会社に行く(仕事をする)人が多い分、感情移入しやすい。

「会社を休んで逆向きの列車に乗りませんか」と言われたら、自分だったらどうするだろうと考え、声を掛けられた人と同じように気持ちが揺れる。

3.逆方向に向かうという舞台が魅惑的。

番組初回では、一度は断ったがわざわざ電話かけてきた異文化マネジメント業の男性が逆向き列車に乗った。日本とアジアなどの外国の文化を繋ぐ仕事。

「逆向きってのは何かじーんとくる。世界の大多数がパターン化してる。自分の仕事は一定方向に向かう多数派と距離を取らないとだめだ」からやってみようと思った、と。「初回から本質に切り込む人が登場したもんだ、やらせって思われるのではないか」とも変な心配さえした。

けれどこれは、“逆向きの列車に乗る”という「舞台」そのものが魅惑的だという証でもある。突然仕事を休めるという誘いがとにかく魅惑的である。

通勤と逆なので、列車も空いているし平日なので、訪れるスポットやお店も空いていて、のんびり出来る。他の人々が働いている平日に休む背徳感と開放感。

ふと訪れる「非日常」。

4.非日常に一歩踏み出す瞬間が見える。

誰にでもドラマはあるけれど、ドラマを起こしあらわにする仕掛けがある。出勤前という日常のなか、逆向きの列車に乗るという非日常の誘いをする。

休めるなら何をするのかと聞かれ、楽しいことを思い浮かべる人、休めるかどうかを悩む人。その時その人その会社の事情が、いろんな組合せでうまくかみ合ったときに、逆向き列車はスタートする。

日常と非日常の隣り合わせ、非日常に一歩踏み出す瞬間が見える。

5.非日常が気持ちの壁を取り去る。

休めなかった人も、何をしたいか考えているときに心が躍る。逆向き列車に乗った人は、思い出の地に行ってリポーターと打ち明け話をしたり家族のような雰囲気になる。とにかく嬉しそうでリラックスしている。

なぜここまで気持ちの壁が低くなるのだろう。

休まないかと声を掛けられ、やりたいことを考える瞬間。休むことが出来て、やりたいことをする時。非日常のわくわくによってそれだけでテンションが上がり、気持ちの壁が下がるのだろう。

ふつうの人が非日常にふといく瞬間、こちらも心が動きテンションが上がり楽しくなってしまう。

6.その人の人生が垣間見える。

9年前に亡くなったご主人との思い出の地、熱海に行くことを決めた佐伯さん。

旦那さんの思い出を語る佐伯さんはとても優しい表情になる。旦那さんとの想い出の店でランチ。亡くなったご主人は、食事の時にいつも佐伯さんの魚の骨を取ってくれたのだと語る。ミスターちんが骨を取ってあげると、「いつもこうやってお父さんが(骨を)取ってくれてたんだ。男の方に取って頂くなんて本当に幸せ」と、旦那さんを思い出しながら、とても暖かい雰囲気の2人がいる。

7.自分たちが世の中を動かしていると感じられる。

急に休める人がそうそういるわけでもなく、何人にも断られる。

逆向き列車に乗れない人にもスポットが当たる。休めないと言う人にも「そうですよねえ、急に休めと言っても無理ですよねえ」というレポーター。

今日はどうしても休めないという人、料理を作る仕事なので自分の代わりがいないという人。

休めない理由がその人から語られると、リポーターが「頑張って行ってらっしゃい」と送り出す。VTRを見ているSHELLYが「こういう人が日本を動かしているんだよね」というコメント。

いろんな人が世の中を動かしていることが感じられ、自分もその一員であることの誇りを感じるほど。

8.支えている人にも光を当てる。

ある女性が休む許可を貰おうと上司に電話をしてお願いする。レポーターの前田健が最後の一押しをすると、「特別の特別だから」と、了承する部長さん。みんなにお土産を買ってくれば会社の宣伝は不要という部長さんに、「上司の部長さんはいい人だ〜」とSHELLYが嬉しそうに言う。

いきなりお店に行くので撮影の許可を取るが、快くOKしてくれた人やお店にもスポットを当ててお礼を伝える。

企画に協力してくれた人全てに対してありがとうを表現する。レポーターもスタジオを2人もナレーションも。番組全体で言う。

それがあざといわけではない。突然仕事を休むという企画自体、突然出かけていって撮影するという企画自体が、誰かの助けなしには成立しないから。それが見えるので、いろんな人の支えで世の中が回っていることをさえも考えてしまう。

9.レポーター、出演者の“人となり”が見える。

レポーターのミスターちんの誘いは、入りがソフトで、相手に負担を感じさせずに声をかける。佇まいと雰囲気が相手の警戒心を解く。

前田健は人に接する時に柔らかくて圧が少ないし、行くときはガっと行く。女性と同行して肉を食べるときにはまるで女子会のような雰囲気。ここがこの人の間口の広さだと感じる。

X-GUNのサガネは、先に「ダメですよね」と言ってしまけれど、相手を気遣っているのを感じる。

ヒロシは2回しかない放送ですでに、人見知りで一声かけるのも苦労している様子が見える。「乗らないですよね」とダメモトの気持ちが前に出て、押しも弱い。このあと逆向きに列車に乗る人を見つけられるのかという、成長物語さえ感じさせる。

優香のナレーションもほっこりさせるし、VTRを見るSHELLYと河北麻友子のコメントも、人と人同士の間に生まれたことを捉える人間力が見える。

10.日本と日本人が垣間見える。

どんな仕事をしているのかを聞くレポーター。その人の職業やその日の仕事、いろんな事が見えてくる。医療関係の仕事をする人、船用のエアコンを外国人のオーナーに見せてテストする日だから休めないという人。

おいそれと仕事を休むことをしないのが日本のビジネス文化であり、その人たちに急な休みを持ちかける企画の中で、日本のビジネスパーソンの姿が浮かび上がる。

VTRを見てコメントするのは河北麻友子とSHELLY。河北はアメリカ出身、SHELYYはハーフ。そんな現実と心の揺れを外からの目線でコメントするための人選なんだろうかと考えさせる。

(公式サイトを見ると、2/17,2/24はSHELLYと芹菜がVTRを見る人なので、そういうことだけでもなさそう。)

11.なにより、「失敗」がない。

出勤前の忙しい時間に駅で声をかけられても、時間の余裕もなく、話しもせずに立ち去る人は多い。普通の番組企画であれば、逆向き列車に乗る人がいないと成立していない。

けれど、休めないということはこの番組の上では「失敗」ではない。あくまでそれはその人とその仕事と会社の事情。そこにきちんと意味がある。

声をかけられ少しでも答えてくれた人が、突然の魅惑的な誘いを聞いて、考え、悩んでいる姿が映し出される。“今日は休めない”、“自分が行かないと職場が回らない”、“休むことを上司に言えない”。そんな気持ちが手に取るように感じられるので、そのやりとり一つひとつに心が動く。その人の置かれている状況、理由、気持ちの揺れ、全てに意味がある

逆向き列車に乗らなかったから「ダメ」なのではない。「失敗」なのではない。「悩み」が見えていることに意味がある。

少し話が逸れるが、ネット検索やソーシャルネットワークのクチコミが発達した今は、「この〇〇が面白い」という情報が先に手に入るので、「ハズレ」を引くことがなくなったと言われる。ただ、ハズレにぶちあたるからこそ目が肥えていくし、当たりを引いたときに、喜びひとしおでテンションが上がる。「ハズレ」は「失敗」ではない。そんなことさえも感じさせてくれる。

12.「人間力」が見える番組。

日常の隣にある非日常への誘いで、わくわくしては悩む人たち。だからこそ、たんなる暖かいヒューマンドキュメンタリーではなくなる。逆向き列車に乗れなくても「そうだよなあ」となるし、乗れたら「やった!」となるし、見ているこっちの気持ちの壁も下がって感情移入してしまう。

バブルが弾けて予算も減り規制が強まった今のテレビだけど。何より、企画力と機動力、そして作品を作るには最後には人間力がものを言うのだと分かる番組だ。

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