要約: 追記→2014/4/19 「日曜×芸人」が終わり、“イジられる”若林の変遷を振り返ってみた。日曜×芸人:“イジられる”若林の変遷。若林が愛される理由。
若林が号泣した日曜×芸人がとてつもなくおもしろい回だった話。泣いた“闇”を幾つかの番組から覗こうとしてみた話。
姉妹エントリー:「若林」は「自分」?。たった一つの自分・究極の自分。(2013/10/17)
負けられない若林が負けた。2013年10月6日の回は、超弩級に面白かった。バカリズムのオールナイトニッポンゴールドでは視聴率が今ひとつだったというので、再構成してまた放送してほしい。
カロリー予想チャレンジ企画。大事な場面で若林が予想を外し、それから若林はリアクションを全くせず硬い表情。で、テープチェンジ中に泣き始める。そのあと、バカリズムが惜しくも外して攻められ泣いてもおかしくない流れになるが、横で若林が泣き始める。「俺のシーンとるなよ!! 俺泣こうと思ってたのに!」というバカリズムに、「バカリズムさんは本気でやったと思うし。元はと言えば僕が最初に⋯」と、若林はもう涙が止まらない。本来ならバカリズムが流れの中心になる場面で、中心はすでに若林。
あれだけ大泣きして、現場では女性陣が引いてしまうなか(放送分にはそういうシーンは出てない)、バカリズムとザキヤマは大爆笑し、若林をもっと泣かそうとまでする流れ。Youtubeと合わせてセットで完結する。オンエア分だけでも面白いけど、配信を見ると厚みが増すという構成もいい。
YouTubeで若林は「なんか人に指摘したりするような人間かなって」と言いだす始末で、ツッコミのアイデンティティまで疑って泣いていた。
山崎:いつもみたいにさ、“なんなんですかね あのSHELLY うるせえなあ とか”。
若林:言えないっすね、そういうのは。
升野:声小っちゃ!!
山崎:どうすんの明日から?
升野:仕事できるの?
若林:なんか人に指摘したりするような人間かなっていうのは思って。
升野:ツッコミ!、ツッコミ!!。仕事なんだからしてかないと(笑)。
バラエティではあるまじき「ガチ号泣」だけれど、この突発的な涙に瞬時に対応し、全体として成立させ、YouTube配信も含めて厚みを持たせるという編集や構成も素晴らしい。こんなに、配信込みで面白いと思える番組は無かった。バカリズムとザキヤマは揺らぐことなく“責め”続ける。最初はどん引きしていたSHLEEYも攻める。(どうやらバカリズムがSHELLYにもっと行けと指示していたよう。放映直後にそういうtweetがあったが、もう本人が削除しているのでそのへんはファンタジー)。
こういうのを笑えるって、テレビバラエティの一番凄いモノをみた感じがした。あそこまで闇が出ていながらの大爆笑。闇があった上での号泣。バカリズム曰く「闇泣き」。
たしかに、、、 闇泣き 正しい気がします! 編集中も、スタッフ一同不思議な感じでした。 “@BAKARHYTHM: あれは男泣きとは違う気がw あれは闇泣き。 RT @nichiyougeinin: 今夜11時15分からはカロリーバイキング第2弾 終盤、若林さんの男泣き・・・
— 日曜×芸人 (テレビ朝日公式) (@nichiyougeinin) October 6, 2013
若林の真面目なとこ、女の子苦手なとこ、考えすぎるとこが全て揃ってあの涙だった。バカリズムが失敗して泣く流れさえも遮って泣く若林。“煽られる・反論する”という、よく見るバラエティ的流れが通用しない状態の中、バラエティのお約束の向う側に行ってしまった。若林も”ブレずに”泣き続けるという、ある意味強い信頼関係の中で起こった出来事。新しいモノ見た気持ちになった。
半生を振り返る号泣
普段の日曜×芸人ならザキヤマとバカリズムがとにかく若林をいじるが、今回は“ミス”という、いじられる“理由”があった。それゆえか、過去の失敗まで呼び覚まされてしまう。
若林:反省って言うか色々思い出しちゃって。少年野球の時のこととか。同点で最終回で、ツーアウトで満塁だったんです。サードを守ってた。急にフォアボールで埋まっちゃったんで、ピッチャー若林!って言われて。で、大暴投しちゃって。負けたんです。で母親も見てて。なんかそういうのとか思い出したり。アメフト部の時とかも。大事な公式戦の前に膝怪我して出れなくて負けちゃったり。M-1の時も2本目決めるとき、ネタのチョイス間違えちゃったし。
『若林の涙の理由でポジティブ!』#29-1/日曜×芸人 on YouTube
もうある意味とてつもなく面白い。馬鹿にしてるんじゃなくて。
いじられることにムっとしちゃう若林。
これまでの日曜×芸人、自分的にはちょっとフラストレーションが溜まる番組だった。
ザキヤマが暴走してバカリズムも乗っかって、 若林がいじられるという流れは、気持ちがはじけずにイライラしながら見てた部分もあった。ザキヤマの暴走が過剰に見え、困惑する若林を見てバランスが悪いという感じを持ちながら見ていた。このあたりは、本人が最近語った「いじられることにムっとしちゃう」ことが影響していたのかも。“いじられ”に乗り切れていないので、ザキヤマが“暴走”しているように見えていた。
10月7日の「終電ごはん」。「未だにいじられると本気でムっとしちゃうところは直さないといけない」と話している。佐藤仁美相手に演技か素か分からないような雰囲気で。ホントかどうかはファンタジーだけど。
若林:誰も見られないようにしてるTwitterやってて。誰も見せないようにして名言なことを書いてる。ばれたら超ヤバい(笑)。
佐藤:1個だけ何て書いてあるか教えて。
若林:“未だにいじられると本気でムっとしちゃうところは直さないといけない”って2日前に書いた(笑)。笑いすぎでしょ、姉ちゃん。⋯しゃべる予定じゃなかったんだけど、俺。
テレビ東京 「終電ごはん」 2013年10月7日
9月29日の「オールナイトニッポン」では女性に対しては本当のコンプレックスがあって「負け顔が出来ない」と話している。
若林:飲んでてプライドの話しになったの。(隠していることを表に出されて)「言わないでーっ!」って負け顔できるかどうかってあるよなって話しになったの。他人からしたらなんで隠すことあんのって思うけど本人には大変なんだよね。それ言われたら対処できないくらい慌てるプライドってある?って話しになったの。⋯(略)⋯。
若林:俺、やっぱりね女の人にいじられるとだめなんだよね。ホントにむかついちゃうのは、コンプレックスなんだろうね、長いこと彼女いないことが。長いこと彼女いないんだよねって話まで大丈夫だけれど、気の強い女みたいなやつが「なんかさあ、高望みしてんじゃないの」みたいなこと言われたらホントにむかついちゃうんだよね。身体が震えちゃうんだよ。⋯(略)⋯。
春日:流せないの?。
若林:わかんない、コンプレックスなんだと思う。本当のコンプレックスだから。異常にむかついちゃって、「別にお前に関係ないだろう」みたいなこと言っちゃって、どっちらけの空気になっちゃうんだよね。⋯(略)⋯。男に言われる分には平気なんだよなあ、全然。
オードリーのオールナイトニッポン 2013年9月29日 開始39分頃
彼は、いじられることにひっかかりを覚えていたんだ。って考えると、これまでの日曜×芸人のことが分かってきた。
女の子へのコンプレックス。
バカリズムに「女にいい格好かっこはしたかったはずなんです」と看破され、頷くばかりの若林。
若林:マジでSHELLYの顔が恐くて。
升野:違う違う、それはバラエティの顔(笑)。
⋯
升野:女にびびって泣いたんだ
山崎:ホントに女の子苦手芸人だ。女子の目の方が慣れてないんだ。男に言われてもいいけど。
升野:で、女にいい格好かっこはしたかったはずなんです。よく仕事で一緒になるし。
山崎:ちょっとなんだったらSHELLYを上からいじったりね。
升野:なのにこんなだらしない姿を見せてしまって、しかもぱっと見たらいつもニコニコしてるSHELLYさんが鬼のような目をしてて(笑)。
若林:鬼のSHELLYが出て、
若林:恐かったです。
山崎:思わず、
若林:泣いちゃいました。
山崎:結構な出来事だからね。お笑い界の(笑)。
升野:俺もこんなの初体験(笑)。
“理想”の自分が強すぎて“現実”の自分を認められない
設楽から受けた「カウンセリング」が2013年9月21日の「お茶ガシとおハナシ」。詳細な文字起こしは別エントリーに。
自分に自信が持てず、司会者として大物芸能人を“転がす”ことが出来ない。その人と“とんとん”であるという気持ちをもてないので渡り合えないんだという考えから、自分を誉めることをノートに書くようになったという若林。
若林:人見知りだったのに梅沢富美男さんを転がさなきゃいけないんですよ。で、ガールズバー行くようになったんです。(でも)ガールズバーではしゃべれたのに、コンパではしゃべれたなかった。ガールズバーは1時間4千円払ってるっていう強みがあった。(となると)トントンの人間だと思うしかない。(そこで)ノート買ってきて、ひたすら自分を誉めること書いてる。
“自分のベストな状態”のイメージが強く、出来てない自分を認められないという闇にスポットを当てる設楽。
ちょっと脱線すると、この心理状態は引きこもりや対人恐怖の人にあることが多い。現実は負けることなんかいっぱいあるんだけど、“まだ本気を出していない”ということで“負けないように”自分を守る。理想の自分が強すぎて現実の自分を認めにくい状態。
設楽:話聞いてるとさ、“自分がいい状態”って、仲間うちで何も気を遣わない奴らと馬鹿な話しして、テンション上がって調子に乗ってる自分でしょ。それが一番楽しいし面白いとき。そこを思い描いている。(たぶん若林は)部活ですげえいたずらしたりする方だったでしょ?。で、そのイメージが凄くあるから“俺なんか(だめだ)”っていう考えを持ってるっていうけど、逆にもっと“俺凄いのに”ってのがあるんじゃない?。“俺本来はこれじゃないんだよ、俺もっと出来るんだよ、こういう人だってしゃべれるし出来るんだよ”っていうのを理由つけないと出来ないから敢えてそれをやってるんじゃない。
若林:(しばし絶句して)……そうかもしれないです。ねじ曲がってて。そうですね、“割れて”ますね。自分がたいした人間じゃないっていえばテレビの映りがいいから、こっち側だけ言ってますね。「本当は出来る」っていう部分、同じくらいあります。
たった一つの自分でいようとすることの苦しさ
“出来る自分”を見せている相手に、“へたれな”自分を見せてしまった経験を語る設楽
設楽:オークラっていう20年来の友だちの作家がいる。俺が20歳ちょい過ぎのころ、バイトとしてる六本木の焼き鳥屋がうまいから食べに来いよって言ったの。六本木の深夜だから近所の飲み屋終わった人が集まって飲むみたいになってた。結構ごつい人とか恐い人も来る。たまたまオークラが食べにきた日にみんな集まってきて、俺、ヒゲとかかかれちゃってるの。普段オークラには強くいってるのに、違うBパターンを見せちゃったことあるの。そこでもオークラには「お前これBパターンだからな」って言ったんだけど。そういう部分で誰しも何個かあるじゃん。でもそこは「1個じゃなきゃ」って思ってるんだよね。憧れてる人って1個だもんね、突き抜けてるから。
若林:進行、MCに限って言うなら、ちょっと調子に乗ってるMCの方がテレビって面白いなって思う。だから嘘でもそうなんなきゃなって思ってノートに書き始めてる。
状況に応じて、出てくる自分は違うものだけれど、どこかで“一つの自分”であろうとすると、苦しくなる。自分が自信を持って振る舞える関係や状況もあれば、誰かの下でいじられるような状況もある。
一言でまとめてと言われて「自信がない自分も自信がある自分も認めようと、今ここで学びました」と、現実の自分の片割れを認めようとする若林。その後設楽はさらに「変わってるよねって言われて少し嬉しいでしょ」と続ける。言われたとたんに若林は、あちゃーという表情でうなだれ、ぼそっと「ありますね(笑)」と言う。
カウンセリングそのもの。女の子が苦手だけれど、どこかで上に立ちたくて。
日曜×芸人でのSHELLYとの共演、待ってる!!
いじられることに覚醒をしたかもしれない若林。いじられてあがいていることを笑いにしてしまった日曜×芸人。
次のSHELLYとの共演が楽しみでしょうがない。
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某番組で某芸人が泣いて好感度が上がった瞬間を若林さんはTwitterやって知っていたと思います
その後のラジオで、芸人がテレビで泣くことの是非やお前テレビで泣いてみてよ、などと話しています
その実験をやったのではないかと思いました
山里さんも、可哀想と心配するファンを尻目に「アイツがそんなタマかよ」と策士アピールをしました
前後や媒体や聞き手や理由によって発言が違うので、1つ1つをまともに捉えて分析してもと思います
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パク・ヨンさんがおっしゃるように、
2013年10月17日の「バカリズムのオールナイトニッポンGOLD」で
2人はこんな事言っていました。
(こちらの姉妹エントリに書きました)。
本当のところは分かりません。もしかしたら本人も分からないかも知れません。最初は「闇泣き」と言っていたバカリズムもそのtweetを削除しました。
テレビの中のことだしましてや芸人さんだし、決めつけるのは面白くないし、粋でないのかもしれません。
ただ、見る側として、そういうこともひっくるめてファンタジーとして面白がってみています。
自分も含めて人の「本当の気持ち」には手が届かないかも知れないからこそ、こうかも知れないと「決めつけて」は、それを「書き換えて」いけるようになれればなあと思っています。
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2年半が経ちましたが今見返してもやっぱり超弩級に面白いですね(笑)。
編集も絶妙ですし、山崎の「飼ってた子羊なの?」も秀逸ですし、バカリズムも事前の「M1以来の緊張」というコメントを振りに使って「M1でも泣かなかったのに」と受けるのもさすが、SHELLYの立ち回りも完璧ですし、最後のバカリズムの泣きに向かうコントでそこに加わっていなかった有村さんが若林を拾ってきちんと割って入る役割をこなしてるのも奇跡的だなと。
コンプレックスの話なんかを聞くと、SHELLYの表情が怖くてというより、ひときわ綺麗な有村実樹さんの「泣いちゃった?」「かわいそうかもしんない」「何かかわいい」というちょっとSっ気ある発言とか、カロリー企画を救うファインプレーとかが実はツボだったかも知れないですね。
若林の背負い方もカッコいいですけど、みんなで成立させようとする連携とか編集の仕方に若林愛を感じてほっこりしてしまいました。
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番組への愛がとても深いコメント、ありがとうございます。返事が遅くなってしまいすみませんでした。
久しぶりにあの驚愕の面白さを思い出しました。編集が大変だったと言うことなので、スタッフさんも演者さんも素晴らしい仕事の積み重ねがあの回なんでしょうね。nonameさんのコメント見てたら、また見たくなってしまいました。ありがとうございました。
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