「安堂ロイド」はプロレスだ。キムタクの力をもっと信じろ。

安堂ロイド

顔はカットしてみたんだけど大人の事情的に大丈夫か?

要約:ツッコミどころが満載の安堂ロイドの楽しみ方。プロレスとの類似点。そして制作者はもっとキムタクを信じて良い。

SFファンからすると、ツッコミどころが多すぎてみる気にならないかもしれない。自分も最初は腰が引けていた。

伊集院光も「ツッコミどころが凄すぎて、この釣り針には掛かれねえなっていう」と言っている。しかしいろんなことを言いながらも最後には「毎週見ますよ。見ちゃいますし、いろんな事を考えるのが面白くて」って言っている。

たしかに前の記事でも書いたが、いちいち引っかかるところは多い。SFとしては残念なところもあるけど、浅いSFファンとしては充分楽しく見ている。

普通にSFとして。

3話目、留置場の麻陽の横で休息しているときに、記憶が甦ってからだが震えているような描写シーン。おそらくロイドは、ブレードランナーのレプリカント(人造人間)のようなものか。抹消される運命にあるのかと。

「レプリカント」と呼ばれる人造人間が、奴隷として過酷な作業に従事していた。レプリカントは、外見上は本物の人間と全く見分けがつかないが、過去の人生経験が無いために「感情移入」する能力が欠如していた。ところが製造から数年経てば彼らにも感情が芽生え、人間に反旗を翻す事態にまで発展した。しばしば反乱を起こし人間社会に紛れ込む彼等を「処刑」するために結成されたのが、専任捜査官“ブレードランナー”である。

おそらく、ロイドは「殺人」をした経験があって、それが機械的な「記憶機能」バグを引き起こした。隠れている民間人に発砲した記憶映像が流れたし。

1話目から機械相手に「殺す」というロイドに違和感があったけど、3話目を見ると、あえてそう表現していると分かってきた。現代に転送されてくる前の出来事が絡んでいるので、「殺す」という表現をするんだろう。ロイドが自分に課した罰なのかもしれないが。

感情プログラムが動作しているときに殺人したか、殺人で感情プログラムが誤動作したのか。旧式で感情機能に不具合があるから廃棄されたのか、廃棄された経験で感情機能に不具合が生まれたのかって感じか。SF的にはベタだけど。

戦闘モードのASURAシステムを起動すると、通常動作用のユカワOSはお休みする。3分しか稼働できないのは、大量にエネルギーを使うから。となると今後の予想としては、感情プログラム〜キカイダーでいう良心回路(ジェミニ)〜を“身につける”と、ロイドは「動作」そのものが出来なくなるんじゃないか。

で、感情を身につけたときが麻陽との分かれになるのかどうかが山場だよね、当然。感情を身につけることが、ロイド「存在」の危機に繋がるんじゃないかと。

と、意外に自分は楽しんでみている。

ただ、安堂ロイドは半沢直樹の後だしキムタクだから視聴率ばかり気にされているし、批判を受けやすいドラマ。SFXも気合いが入っている。「でもなあ⋯」っていうムードなドラマ。

「〇〇に似ている」って文句は意味がない

原作があるものではないので、”怒りを持たずに”見れる。これが大好きなSFアニメの実写化だったらここまで楽しめなかったかも。

原作があれば、その世界観はある程度共有されているので、作り手側からすると、視聴者の心のスキマに入り込みやすいだろう。ただ、原作ファンからの反発は強くなる。どうしたって。

だからこそ、「〇〇に似てる」のだ。ターミネーターに似ているってのも、その方がSFに詳しくない人たちのスキマに入り込みやすいから、そう作っているのだ。知っているものを下敷きにすれば、SFになじみのない人でも入り込みやすい。最大公約数を目指した結果だ。

キムタクは「キムタク」

キムタクは何をやっても「キムタク」なのだ。良くも悪くもそうなのだ。桃井かおり みたいなものだ。もう今更言うことでもない。

『家政婦のミタ』と『地獄でなぜ悪い』の長谷川博己が別人かと思った。しかしキムタクは彼とは違う。堺雅人とも違うのだ。純粋な役者じゃない。トップアイドルなのだから。立ち位置が違う。

制作側もそれを分かった上でキャスティングしている。キムタクをその役にはめて成り立つものを。もしくは設定をキムタクに寄せている。キムタクがハマまっていないなら、キャスティング側のミスなのだ。

「キムタク」に嵌まれなかった自分。

ロングバケーションだけはやたら嵌まったけど、もともと、キムタクのドラマはちょっと敬遠してきた。少し前まで「キムタク」を楽しめないで居た。いいともSPで答えをフリップに書くとき、わざわざラブシーンを英語で書いて、LOVE SEANって(本当はSCENE) 間違ってるし。その上、誰もつっこまず、カメラもフリップを避けて写したり。

それまでは、アイドルに対して完璧な演技力や歌唱力を求めていた。それなのにテレビ界に君臨するキムタク、SMAPになんでか“腹が立って”いた。彼がというか、周りも含めた「俺様感」に。

ただ、自分がももクロに嵌まってみると、その目線は一変した。見事なまでに、ももクロメンバーはものを知らないし、生放送での歌はハラハラしちゃうし。踊りかでみればもっと凄い人はたくさんいるし、全力なのはみんな全力だし。そんなことはどうでもよくて、惹きつけられるものがあるってことを知った。

プロレスだと思って見てみる。技を受ける。

自分の基準を曲げずにそこからの引き算で見ていると、何も面白くないってことにだんだん気付いてきた。今までの自分だったら、それもこの年になってアイドルが好きになっているのは、自分が変わってきたから。

好きなアーティストのライブでも、「この曲演らないかなあ」ていう思いが強いと、他の曲がつまらなくなってしまうのと同じで。

だったら、そこにある基準に自分が近づいた方が面白い。プロレスのようなものかもしれない。

子どもの頃、普通にテレビでプロレスをやっていて見ていたけど、最近まで「プロレスはいかさまだ」呪縛が強かった。最近、プロレスの力が気になり始め、いま、呪縛を解放中。

昔は、ロープに振られたら戻ってこないで逃げればいいのに、と思っていた。「プロレスの楽しい見方」という記事はとてもわかりやすい。「投げ技は互いの信頼があっての賜物です」とある。これは一般のスポーツの基準で見ていても理解できない。「プロレスは技を受けるもの」という言葉って唸るほど凄い。

結果は決めているかもしれないけどそれまでの流れは、お互いの呼吸で決まっていくともある。これはアメトーークだって同じ。ある「くくり」で芸人が集まり、流れも話すネタも決めている。けど、若手はタイミング良く用意したハナシを言えなくて、それを周りに突っ込まれて笑いが生まれたり。筋が決まっていながら、その場の状況で変わっていくのは、プロレスと同じ。ちょっとそれた。

相手が出してきたものは受ける。だったら、もう「キムタク」が出してきた技は受けようじゃないか。そう見た方がよっぽど楽しく見られる。

「キムタク」を封印したチャレンジに期待

キムタクは「キムタク」だとはいったけど。1話目見たとき、格好良さと人間くささを併せ持つ「キムタク」らしさが、抑えられていてちょっと期待した。これはチャレンジしているなと。

キムタクは二枚目で完璧だけれど、どこか三の線も持っている。かっこよくて優しくて突き放してもくれて、真実を追究して、時にはルールも破って。だからどうしても、何をしても「キムタク」。

それが、二役やる。沫嶋黎士は頭は良いのに、徹底して三枚目。安堂ロイドは、表情も感情もなく、クールというか温度がない。

「キムタク」のキャラクターを「分裂」させたことでいつもの「キムタク」を封印した。これは期待できると思った。

ロイドはもっと“機械”でいい

ただ3話目ですでに、安堂ロイドがコミカルに描かれている。感情があるかもしれない描写もかなりわかりやすくやっている。そして、安堂麻陽(柴咲コウ) もロイドに対して接近しすぎというか、険がとれてきている。ロイドを蹴っ飛ばす場面がコミカルだっり、目覚まし時計を修理するロイドに共感したり。

これはちょっと早い。

A.I. know LOVE? = 機械は愛を感じられるのかというテーマを掲げるのであれば、感情がないロイドの描写を徹底しないとだめだろう。3話目ですでにロイドと麻陽の距離が近づきすぎている。

感情を理解できないはずのロイドが感情を持つのか、麻陽はどう感じるのかという事がテーマのはず。

「フリ」が弱くなる。

なんでターミネーターで、シュワルツェネッガーが親指を立てて溶鉱炉に沈んでいく場面がみんなの心に残ったかというと。T-800が無骨な身体で、強面で、冗談が理解できない描写がしっかりあったから、最後に人間らしさを見せたターミネータに涙した。動物に感情があるとこちらが信じてやまないように、あのグッドラックに感情移入したのだ。

このペースでロイドが人間くさくなると、ロイドが愛を理解しても何ら不思議がない。単なるラブストーリーになってしまう。

機械と人間の切ないラブストーリーを描きたいなら、しばらく「キムタク」らしさを抑えた方が良い。せっかくロイドと黎士を分けたんだから。

キムタクの力を信じろ

ここは邪推なんだけど、「キムタク」らしさを出さないと視聴者が離れてしまうのではないかと作り手が及び腰になってないだろうか。視聴者の反応を意識しすぎてないか。

「キムタクの力を信じろ。」と言いたい。いつもの「キムタク」〜完璧だけど三枚目〜なんか出さなくたって、キムタクはやってくれる。

人間くささを見せたいなら、黎士の回想シーンを見せれば良い。格好いいところを見せるなら、揺らぎないロイドを見せれば良い。機械そのもののキムタクで充分格好いい。

その「情」と「理」の「あいだ」を視聴者はみるはず。

ツッコミ目線が豊富となった視聴者は、ちょっとした仕草で充分「あ、ロイド、感情あるのかも」って気付くから大丈夫、信じよう視聴者を。3話目はやりすぎだって。ロイドはもうしばらく機械に徹した方がいいって。

「視聴率に振り回された視聴者」の評判なんて気にするなと言いたい。半沢直樹の40%なんか関係ない。まあキムタク使って視聴率とれないのは困るんだろうけどさ。

ん〜いろいろあって楽しいドラマだ。安堂ロイド

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  4. キムタクを演じてる木村拓哉は力を見くびられてる
    それは強く思う

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    • >今日速の名無し さん
      「見くびられている」。たしかに。
      キムタクという怪物を演じていながら、親近感も醸し出しているから見くびられちゃうのかもしれませんね。

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