壇蜜の寂しさは俯瞰から来る。「まず自分が愛す心を許す」;紅白副音声から

要約:紅白歌合戦の副音声でただただ、壇蜜の素敵さと凄さを実感した。俯瞰しているから寂しさを纏っているのかもしれない。副音声は「別番組」レベルでした。

壇蜜編だけの文字起こしはこちらのエントリ。紅白全体の感想と美輪明宏の文字起こしエントリはこちら

テリー伊藤:壇蜜は日本女性の価値観を変えた

壇蜜が副音声に出てくる前、藤あや子のバックで日本舞踊を踊る壇蜜を見ながら、テリー伊藤と林修が彼女を「文学的」だと評する。テリーは「日本のマリリンモンロー」だとまでいう。

テリー伊藤 いやー、壇蜜は日本の女性の価値観変えてますよね、今。彼女は文学の匂いがするような気がする。谷崎潤一郎とか。そういうやらしいんだけれども文学の匂いがする、そこに彼女の魅力があるような気がしますけどね。

林修 たしかに、(永井)荷風とか谷崎の耽美派的な感じがしますよね。

テリー 淫靡な感じがね。

壇蜜の日本舞踊に目を付け、出演の場をつくったNHK

ただ審査員として紅白に出すのではなく、日本舞踊という舞台を用意したのは、見事だなと思う。NHKは何としても壇蜜を出したいと考え、やはりなにかしら披露する場を設けてNHKでお茶の間に映すことの理由付けをしたのかもしれない。

副音声には、壇蜜と「だんくぼ」など共演も多い大久保佳代子も登場。趣味でやっている程度だとしか話していなかった日本舞踊に目を付けてオファーしたNHK。常にあるのは相手への感謝。

テリー伊藤 壇蜜さん、凄いね。あんなに実は踊りが踊れたんだね、いや、ビックリした。いつからやってたの?

壇蜜 おそれいります。14歳から。

テリー そうなんだ。あんまり言ってなかったんじゃない。

壇蜜 そうなんです。趣味でやってる程度にしかお話してませんでしたね。

テリー それは今回はNHKの方からオファーがあってやってみないかってことで。

壇蜜 そうですね。そこで選んで頂いたのは本当光栄でしたね。

大久保佳代子 でも凄いですよね。NHKの方が壇蜜ちゃんの日舞に目を付けるというか。オファーするというのは。

壇蜜 ここに至るまでにはかなりの振り付けの先生だったり衣装の形だったりカツラの方々も、時間なくて。ホントはカツラなんてできたら1ヶ月欲しいという方なのに10日あまりで作って頂いて。すべてに感謝しかないですね。

俯瞰する壇蜜。

テリーに自分の弱点を聞かれる壇蜜。弱点を聞くテリー伊藤も凄いが、非常に俯瞰した視点で返す壇蜜。小さい頃は持っていた希望をいまはテレビに持てないという。テレビマンのテリーと、このテーマでずっと語っていて欲しかった。

壇蜜 それはおそらく、私が思っている以上にテレビに何も希望を持ってないことでしょうね。それが一番の弱点だと思います。

テリー なに?

壇蜜 テレビに何も希望を持ってないんだと思います。人を元気にしたり、喜ばせるのがテレビだと思って、やっぱり小さい頃はそういう感情ありましたけど。今、そういう感情がかなり薄いことに気付いてます。それがテレビに協力的でない姿勢が人に勘違いされちゃうから、一番それが自分のアキレス腱だと思ってます。

自分はテレビにむいていないとも語る。ファンを優先する姿勢が他の人に嫌な思いを抱かせるので、「テレビ」として求められることとバッティングするのだろう。「テレビに対して非協力的であること。やっぱり、ファンのことを考えるから、いろんな人に嫌な思いをさせるんですよ。たとえば映画のプロデューサーに、イベントの内容がファンに対してふれあう時間が短ければ、平気で私が怒りますから」と。

壇蜜の男性のタイプから、副音声は別番組に突入

とうとうテリーは壇蜜に好きな男性のタイプを聞く。ここから副音声は、紅白とは完全な別番組になっていた。

壇蜜は「例えば私が“あなた何仕事してる人なの?”って聞いた時に、ちゃんと私に分かるように答えられる人」と。働いているというだけではなく、相手に伝えられるか、共有する姿勢があるかを求めているのだろうか。

「お互いに予知してる・想像してる未来みたいなもの、スパンがちょっと違う」と、思い描く未来が重なるかどうかで、縁に恵まれなかったと。

テリー 壇蜜はどういうのが男性のタイプなの?

壇蜜 ん~、やっぱり働いている人に限りますね。ちゃんと働ける人。意外と難しいんですよ、これ。例えば私が「あなた何仕事してる人なの?」って聞いた時に、ちゃんと私に分かるように答えられる人。そんな人あんまりいない。

テリー 今まで付き合った男はどういう人だったの?

壇蜜 そうですね、いろんな業界の方がいましたけど。基本的にはひたむきな方が多かったです。

テリー ひたむき?じゃあちゃんと働いてんじゃん。

壇蜜 はい。それでもやっぱりお互いに予知してる、想像してる未来みたいな物が、スパンがちょっと違いすぎたり、なんかどうしても若いからケンカ別れしちゃったりする節があって。なんとなく縁に恵まれなかったのが現状ですね、正直なところ。

まず愛する心を許す

自分のタイプを聞かれたのだが、話は“人と人生を重ねていくことの難しさ”になる。

「支え合って生きていくのが人ならば、やっぱり愛し愛されるのも大事だと思うんですけど、まず自分が愛す心を許すところを持っていないと、人とは接しられないだろうって。ちょっと人と接することが苦手なものにとっては、そういう風に気を付けてないとだめな部分ってあるんですよ。愛情もそうだと思います。自然にそういうことやるっていうのは、普通の人の意見であって、寂しさをたくさん感じてる人は意外とそれは普通に出来ない」

あまりにも深いので、自分なりに解釈してみる。野暮だけど。

壇蜜の思考を借りれば、人と接するのが苦手な人は、まず自分を愛してしまうのだろうか。この言葉で凄いと思うのは、壇蜜は寂しさを感じてまず人を愛することが「うまく出来な自分」を否定していない。「相手を愛する自分を“許す”」と表現する。「人を愛せない自分」なのではなく、「愛する自分を許そう」とすること。なんだろう、この深み。橋本アナじゃないけど、泣きそうになる。

壇蜜のはかなげで物憂いな雰囲気というのは、このあたりに起因するのだろうと感じた言葉だった。

ここはこのまま読んだ方が素敵だと思うので、流れを含めて、そのまま文字起こしを載せておく。


テリー 壇蜜もさ、愛されることと、愛することはどっちが好きなの?

壇蜜 そうですね、私はどちらかというと、愛さなければいけないと思ったりします。

テリー 愛さなければいけない?それは使命感みたいなもの?

壇蜜 そうじゃないとおそらく支え合って生きていくのが人ならば、やっぱり愛し愛されるのも大事だと思うんですけど、まず自分が愛す心を許すところを持っていないと、人とは接しられないだろうって。特に自分みたいに一人っ子で、ちょっとまあ人と接することが苦手なものにとっては、そういう風に気を付けてないとだめな部分ってあるんですよ。愛情もそうだと思います。自然にそういうことやるっていうのは、普通の人の意見であって、寂しさをたくさん感じてる人は意外とそれは普通に出来ない。

テリー 奈穂子さんはどうですか。

橋本アナ いや、ちょっといま同じことを思い、深いなって思って。私も兄弟がいないので。そうかもしれないって。しかも年も一緒なので。だから凄く今学びました、壇蜜さんから。

テリー 気持ちは分かる。

テリー 壇蜜さんは全然写真誌撮られないよな。これって、全然最近はそういう男の人が、愛する人がいないってこと?

壇蜜 いえ。以前、前の仕事のつながりで知り合った人がいたんですけど、私に責任をとる力がない今の状況で。ファンの人を複雑な心境にしても大事にする感情なのかと言ったらそうじゃなかったんですよね、今の関係が。だから、もうすこし、お互い様子を見ましょうということになって。連絡は取ったりしてるんですけど、やっぱり今は色々迷惑を掛けた分、ファンに心の借金を背負わせたような気がしてるので、一人で居ることを仕事にしてる。でもファンも、それが悲しいからつまみ食いは少々してくれっていわれました(笑)。

テリー ははっは。そうか一人で居ることが仕事ってのもあるかもわかんないな。

橋本アナ 今のお話が

テリー 福山さんなんかもそうかもわかんないよ。

橋本アナ 福山さんのお歌と、お話が凄くなんか浸みました、私。

テリー 泣かなくたっていいんだよ。もう少ししてるとね、あの、奈穂子さん泣いちゃうからね。

橋本アナ 泣いちゃいますから。黙ったと思ったら、涙してる

テリー それもう、副音声のレベル超えるからね。

壇蜜 泣いちゃダメ

テリー NHKホールで泣いてるって。面白すぎるから。

もう副音声のレベルは超えてました。


俯瞰する視点が人生を重ねることに慎重になるのかも

壇蜜の弱点は何かという話しになるのだが、壇蜜は大久保佳代子を褒め称える。

「大久保さんはいろんな女性の代表として物言いが出来るすごく数少ない人」だが、自分にはその資格がないと言う。

「だから大久保さんが気持ちよくちゃんとものが言えることってのは大久保さんだけにやって欲しいんですよね」と、大久保には大久保の役割があると言い、一方で自分の立ち位置を非常に意識的に俯瞰している。

その上で、「だから他の誰にもやって欲しくない。だから今毒舌とかなんとかを斬るとか言う人いらっしゃいますけど、やっぱり大久保さんじゃないとだめな部分って、一緒に共演してて凄く感じたんですよね」と褒め称える。なので、大久保も素直にありがとうと言葉が出てくる。

大久保 この良い曲を聴きながらそれ聞いたら泣けてきちゃいますね。

壇蜜 年末にごめんんさい。曲と話の内容がほんとにそぐわない。

橋本アナ 本当に涙してましたね。

テリー 大久保、負けてんじゃねえか、お前。

大久保 良い子なんですよ。こんな風に思っててくれたんだと思って。

壇蜜 だから、番組も一緒にやってるんで、どうしても大久保さんに。大久保さんじゃなきゃやって貰えないようなことは大久保さんだけにやって欲しいんですよ。

大久保 ありがとう。

もしかすると、ここまで俯瞰してしまうので、相手と人生を重ねることに慎重になってしまうのかもしれない。“勢い”や“弾み”で伴侶や結婚を選択しないのかもしれない。

ファンを大事にする姿勢と露出をいとわない壇蜜

この1年を振り返って、「自分に求められてるものが徐々に変わってきていることに戸惑いもあったし、それも応えてこそファンのためになると。そういう所で葛藤っていうのはすごくありましたね」と言う壇蜜。

これは誰もが思うことだろうが、共演の多い大久保佳代子から見ても、「ファーストイメージはセクシーなお姉さんとか、ギリギリの下ネタばっかり言ってるようにみえますけど、その一個裏はやっぱり頭が良い」と評され、「したたかですね」とまで言われる。

「裸になることをいとわない、大胆に見せること格好良さ」があるとテリーに言われ、大久保も「テレビの露出が増えてもおっぱい出してますからね」と。

守るものがはっきりとある壇蜜

壇蜜は自分として守るべきものが非常にはっきりしている。

大久保は壇蜜の弱点は何かと聞かれて、「ある意味こだわりとか自分のやるべきものが固いんで、こういうとこでもうちょっと悪口言ってくれたら面白いのにとか。守るべきものを守りすぎてんじゃないのとは思いますけど」という。

「たとえば映画のプロデューサーに、イベントの内容がファンに対してふれあう時間が短ければ、平気で私が怒ります」といい、「そういう支持がなければここに居る意味がないし、あなたの仕事もないですよって言ったことがあります」とまで言う。

来年は、「ファンのための恩返しってのはいつも思ってますね。移籍の問題でファンクラブを早々に解散してしまったので。だから新しい事務所に入ったときに何が出来るかっていったら、まずはファンに恩返しをすることかなって思ってます」と、あくまでもファンが第一だと。

言葉のチョイスが壇蜜的。ここが文学的な香りに?

松田聖子の声は「耳に入ってとても心地良い声の持ち主なんだろうな」と誉めるだけではなく、「松田聖子さんの時報が聞きたいです。ずっと聞いてられる気がします」と、彼女なりの表現が加わる。

松田聖子とクリスハートのデュエットを見て、壇蜜は「米国の大きなショーのお披露目って感じがしますね」という。ここで「べいこく」というワードチョイスをするセンスが、壇蜜らしい。

相手の言葉を受けとめわかりやすく言い換え、その人が誉めた人もその人も誉める壇蜜

テリーが松田聖子を、「変わらないっていうか、変わってるよね逆に。時代の中で。進化してるっていうかさ」、「それがすごいんだよ。時代時代の中で可愛いときもあれば、見せつけることもある。ほんと、怪物だよね」と評する。

それを壇蜜は「日々、チェンジされてるんですよね」と、受ける。さらに、「変わってないようで変わってるって一番良い表現ですね」と相手の言葉を言い換えた上で、それを評したテリー伊藤への尊敬も含めて表現する。このあたりの丁寧さ、人を大事にする姿勢がテレビを通して伝わってくるのだろう。

エロを見つけてテリーに教える壇蜜

こんな話もしながら、 滝川クリステルがインタビューされているときに、テリーと二人でこんな話もしている。ちゃんと、求められるものも提供する。橋本アナがちょっと困ってしまうのも可愛らしい。

壇蜜 こうやって、テリーさんテリーさん、こうやって見ると半裸に見えません?

テリー うふふ。

橋本アナ 何言ってるんですか(笑)。

テリー ちょっと見えるよな(笑)。下の方のね。

壇蜜 うん、見える。セクシー

橋本アナ 何を言ってるんですか、もう。

テリー いいじゃないですか。

橋本アナ お話聞いてください。

テリー おもてなしやってくれないんだ。

壇蜜という存在がテレビに出ることの意味

ただ審査員として紅白に出すのではなく、日本舞踊という舞台を用意したのは、見事だなと思う。活躍の場をきちんと用意した上で、出る理由を創っている。なによりこの副音声への長い出演が素晴らしい。

テリーが、「セクシーという形で出てきて、NHKの紅白のステージで踊る。壇蜜みたいな存在がテレビでこうやってNHKの紅白にも出れる。日本もすごくそういう意味で言うと成熟してる部分もあると思うよ」と。

壇蜜が出ていることは自分としては喜ばしいことで当たり前のことだが、テリー伊藤に言われて改めて考えてみると、深夜帯でもなく紅白という場に出ているというのは凄いことなのだと感じる。

壇蜜 そうですね。日本が変わったってことに対しては、すごくありがたいと思います。いままでだったら有り得ないことでした。

テリー 有り得ないもんな。

橋本アナ いやー、ホントに。

テリー 例えばさ、飯島愛ちゃんくらいの時だったらまだ有り得なかったかもわかんない。

壇蜜 そうですね。

テリー それがやっぱりさ、壇密だったらいいみたいな感じあるからね。

壇蜜 それはありがたいですけど、それは自分にも責任を持ってやっていかなきゃ行けない部分は凄くありますね。

* * *

俯瞰した寂しさを纏う壇蜜

彼女がセクシー分野で世に出てきていながら多くの人に受け入れられるのは、頭の良さだけではなく、その奥ゆかしさや慎重さにあるのだなあと感じた。

相手の言葉を受け止め、伝わりやすく言い換えもするし、否定しない。

彼女は絶えず俯瞰している。常に「一人」だからこそ、あの「寂しさ」を纏っているのかもしれない。それが日本人が好きな、耽美な奥ゆかしいエロに繋がるのだろう。

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